映画から学ぶいろんなこと

映画を観たことで生まれた疑問や考えたことをまとめていくブログです。

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実話を基にした映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」を観て思ったインドの孤児事情や日本の里親制度

こんにちは。

「5歳で迷子になった主人公がGoogleMapで実家を探しだして25年ぶりに家族と再会した実話」という触れ込みの映画を観てきました。

「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」です。

 

1.あらすじ

オーストラリアで幸せに暮らす青年サルー。しかし、彼には隠された驚愕の過去があった。インドで生まれた彼は5歳の時に迷子になり、以来、家族と生き別れたままオーストラリアへ養子にだされたのだ。成人し、自分が幸せな生活を送れば送るほど募る、インドの家族への想い。人生を取り戻し未来への一歩を踏み出すため、そして母と兄に、あの日言えなかった〝ただいま″を伝えるため、彼は遂に決意する。「家を探し出す―」と。

公式HP(映画『LION/ライオン ~25年目のただいま~』公式サイト)より

2. どこまで実話?ご本人の今は?

前述のとおり、こちらのお話は実話が基になっています。

どこまでが事実でどこからがフィクションなのでしょうか。

ちょっと調べてみました。

2-1.サルーの実父って?

映画にはサルーの実父はでてきませんでしたね。

サルーの実父はサルーが3歳の時に家族を捨て、別の女性と結婚されているようです。

なので、サルーが迷子になった5歳当時、家庭を支えるのは母親であるカムラだったのです。

2-2.保護~養子になるまでの過程

映画の中では、道端にいたサルーを見かけ、心配した青年が警察に連れていき、保護された様子が描かれていました。

実際にはサルーを見かけ気の毒に思った男性が3日間ほど自宅で保護したのちに、地元の刑務所に連れて行ったそうです。そこからサルーは少年院に送られたそうです。

その後に関しては、映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」と同様に、養子縁組をサポートするNPO法人が孤児院に移送し、養子縁組の確率を高めるため、基礎的な学力や英語、しつけを教えられたようです。

参考:Saroo’s Google-Earth Quest: How an Orphaned Boy Found His Way Home as Grown Man | Vanity Fair

2.インドでの孤児事情

映画のエンドロールでの「インドでは年間8万人もの子供が行方位不明になっている;」という事実に衝撃を受けました。

気になって調べてみると、ちょっと古いですがこんな記事を発見↓

www.afpbb.com

特に貧困地域で誘拐された子供に関して、写真がないので捜査が進まないことも多いそう。映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」では、具体的にそういったことは描かれていませんでしたが、恐らくサルーの家にも写真はなかったのではないでしょうか。

日本では迷子犬や猫でも公開されている写真。記事にもありますが、警察が定期的に貧困地域の子供を撮って回るという取り組みもなされているようですね。

映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」の中でも、サルーが危うく人身売買されそうになるようなシーンがありましたが、実際にサルーのように保護されなかった迷子の子供や、誘拐された子供は多くが人身売買の対象となっているようです。

貧困が生む悲劇。ことに、インドのように貧富の差が激しすぎる社会で、こうしたことが起きている事実。富がもっと分散され、国が平和になることはないのでしょうか。

3.日本では里親制度ってあんまり聞かない気が・・・

映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」の1シーンで、育ての母親が「子供が産めない訳じゃなかった。世界には恵まれない子供がたくさんいるのに、自分が新たに子供を産むことで世界は良くなるのか?」と言うシーンがありました。

これには賛否両論ありそうですが、私は強く胸を打たれました。

少子化が叫ばれているのは事実ですが、恵まれない子供たちが育つ環境が十分でない中、こうした思いを持った人がいるというのは素晴らしいなと個人的に思いました。

「今」苦しんでいる子供たちを一人でも幸せに、良い環境で育てられるように、という意味で里親制度のすばらしさを実感しました。

でも、日本では両親が犯罪・死亡などなんらかの理由で子供の養育ができなくなった場合に親族が里親となるような話しかあまり聞かない気がしました。

そこで、厚生労働省の「里親制度」に関してのページをみてみると・・・

www.mhlw.go.jp

里親制度は年々減少していました(昭和30年~平成26年データ)

確かに、血も繋がらない子供を実の子として養育していくってかなりの勇気もいります。

そして、普通に生活していて、そもそも「里親制度」について触れる機会が少ない気がします。

現在、日本の中でも新潟県や福岡市、大分県などは近年里親委託率は増えており、

 これらの自治体では、児童相談所への専任の里親担当職員の設置、里親支援機関の充実、体験発表会、市町村と連携した広報、NPOや市民活動を通じた口コミなど、様々な努力をしており、里親等委託率を伸ばした県市の取組事例を普及させるなど、取組を推進しています。

とのことでした。

また、こちらの記事では日本で里親が増えない理由を、里親支援機関事業を受託している特定非営利活動法人キーアセット代表渡邊守さんがわかりやすく解説してくださっていました。

www.huffingtonpost.jp

こちらの記事によると、日本で里親制度が増えない理由として

・行政での里親支援制度促進には限界がある(主に金銭的な面で)

・行政から信頼される民間機関の支援が必須であるが十分でない

ということが述べられていました。

そもそもの里親制度が知られていない、ということや里親になることで生じる様々なイレギュラーなことに対しての不安を取り除くための支援活動など、定期的なバックアップができる体制を持った、民間機関の存在はとても重要だと思いました。

 

4.~はみだし~かわいすぎる子役について

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今回、映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」を観て、インドの孤児事情や日本での里親制度などいろいろと考えましたが、映画の中でもうひとつ気になったことが。

「子役がかわいすぎる」ということです。

もう、この子がかわいすぎて、演技も自然体すぎて、前半部分の迷子シーンは胸がしめつけられそうに。。

 

気になるこの子はサニー・パワール君。数千人もの中からオーディションで選ばれた子だそうです。もちろんこれまでに演技の経験はなく、実際にムンバイの貧しい地域に住んでいた子供というのにもびっくりです。

監督も、「撮影が始まってから1週間ほど経った頃、明らかに彼は自分のしていることを理解して、演技をコントロールする完全なプロへと変身した。想像を超えた理解力で、私たちが指示した以上のものを演技にもたらしたんだ。自分で感情を組み立て、物事を感じ、泣き、叫び、持てる限りの力を発揮してくれた」と大絶賛していたそうですよ。

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5.まとめ

映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」は感動の実話というだけでなく、世界、日本の抱えている問題についても考えるきっかけになりました。

紹介したサニー君はじめ、役者陣の演技や映像もとてもステキで観る価値ありの一本です。

まだ観ていない方はぜひ、観てみてください。

 

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